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「10万年の世界経済史」[上・下] グレゴリー・クラーク著


比較的読みやすかったし、ほぉ~と思うところがあったが、メッセージを抜粋すると、おそらく薄い本一冊に納まる程度で、2冊に及ぶ量になっているのは、メッセージを裏付けるデータや論証がかなり多いためである。とは言え、決してつまらない本ではなかった。

タイトルが“10万年”となっているが、10万年の世界経済史を舐めるように書かれているのではなく、1800年以前と以後の変化を中心に書かれている。
章立ては、
 第一部 マルサスの罠
 第二部 産業革命
 第三部 大いなる分岐
となっており、上巻には第一部、下巻には第二部・第三部が納められている。

【第一部 マルサスの罠】
1800年以前のあらゆる社会にあてはまる経済理論とモデルを示している。
トーマス・ロバート・マルサスが1798年に著した「人口論」に基づいており、技術進歩を通じて実現した短期的な所得の増大が、人口の増大によって必ず相殺されていた。そして、1800年当時の平均的な生活水準は、紀元前10万年の平均的水準を上回っていたわけではなく、むしろ1800年の世界人口の大半は、遠い先祖よりも貧しい暮しであった。
1800年以前の社会においては、人口増加の圧力が弱められること(例えば、戦争、社会混乱、凶作、不衛生等)が物質的生活水準を高めることに繋がり、人口増加が進むと物質的生活水準は低くなる関係にあり、それが一定の範囲でバランスされていた社会であった。その論証として、出生率や死亡率を取り上げている。また、この時代の経済法則が自然淘汰の法則に基づくものであり、ダーウィンが示した動物社会と何ら変わらなったこと等を示している。

【第二部 産業革命】
1760~1900年にヨーロッパ社会で起きた2つの出来事、即ち、産業革命と出生率の低下によって、1800年以降の人口一人あたりの所得が飛躍的に増加した。なぜこのような事象が発生したのか?そして、なぜ、その成果をすべての社会が共有できなかったのか?この謎を解く説として、以下の3つが挙げられている。
①現代民主主義の導入をはじめとする政治制度の変革がもたらした(外因的経済成長説)
②何らかのショック(例えば、病気や戦争)をきっかけに、動的な新しい均衡へ移行する力が働いた(複数均衡説)
③マルサス的経済の時代の社会的環境が徐々に向上した結果として成長した(内因的経済成長説)
著者は、③の説に依拠しており、産業革命以前からの知識蓄積率の上昇傾向に重なって始まった、偶然の出来事に過ぎないとする。
その上で、なぜ産業革命は中国やインド、日本ではなく、英国で始まったのかについて論述している。これについては、社会の安定性と人口動態という、偶然的な要素に求めている。ここでの人口動態の話は、なかなか興味深い。上流階級の子どもが社会階層の梯子を下る英国の特殊性が示されている。

【第三部 大いなる分岐】
産業革命によって、経済先進国の内部では所得の均等化が促されたにもかかわらず、国家間の経済力の面で大きな差異が生じたのは何故か?その大いなる分岐が生じたのは何故か?
これについては、釈然としないところだが、簡単に言うと、労働者の規律や熱意の差に求めている。


以上が概要であるが、興味深いメッセージがいくつかあるものの、首をかしげ、どうも納得できないというところもある。また、実際に、これらの意見やメッセージに対する反論も、経済学者から提示されているようで、鵜呑みにして読んではいけない。しかし、一つの考え方として、私のような素人が娯楽として読むには、楽しい本であった。
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辻 大志

Author:辻 大志
コンサルティング会社に勤める会社員。
この場を借りて、自分の意見や考え、日々の戯言を綴っています。
一人でも多くの方に読んでいただき、繋がりを持っていきたいと思っています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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